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Webサービスの利用規約における知的財産権の取扱について

その他

友人が開発しているWebサービスの利用規約を作ることになったので、その過程で利用規約について色々調べていた。

まずはこの本が会社にあったので、ちょっと借りて読んだ。

良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

利用規約、プライバシーポリシーというと小難しいイメージがあるが、「なぜこのような条文が必要なのか」という観点から一つ一つ確認していくと、これがサービス運営の品質にとって非常に重要だと実感することができる。

具体的に言うと、サービスを運営するにあたって発生することが予想されるトラブルを利用規約を通じて類型化し、事前に取扱を定めておくことで、効率的にトラブルに対処することができるようになる。

詳細な内容は上述の書籍を読んでいただくとして、私が気になった点を取り上げておきたい。

ユーザーが投稿したコンテンツの知的財産権について

事業者とユーザーとの間での知的財産権の取扱

ユーザーがコンテンツを投稿しシェアするタイプのWebサービスでは、常に「コンテンツの知的財産権をどう処理するか」という問題が発生する。

まず著作権には「著作財産権(著作から生まれる財産的な利益を保護するための権利)」と「著作者人格権(著作物を勝手に改変しない等、著作に関する人格的な利益を保護するための権利)」の2つがあり、どちらも著作物を創作したときに自動的に発生する。

著作権はその全部または一部を譲渡することができる(著作権法(以下、法という)61条)が、人格権は譲渡することができない(法59条)
公益社団法人著作権情報センターのWebサイトには、以下のような記載がある。

Q. 著作権を得るためには何か手続きが必要ですか?
A.著作権は、著作者が著作物を創作したときに自動的に発生します。
したがって、権利を得るためにどんな手続きも必要ありません(無方式主義)。
参考条文…著作権法第17条第2項

(中略)

Q. 原稿の買取りは著作権の譲渡になりますか?
A.買取りの契約に際し、著作権を譲渡する旨が当事者間で明確にされていない限り、
著作権の譲渡にはならないと考えられています。
また、「買取り」という用語は、業界によって解釈に差があるようで、
特に口頭の契約で処理した場合には、後日に紛争になる可能性も考えられます。
契約の際には文書で結び、著作権の譲渡を前提としている場合は、
「AはBに著作権を譲渡する」などの条項を定める必要があると思います。

ユーザーが投稿したコンテンツの著作権は、(特に何の定めも無ければ)自動的にユーザーに帰属するので、サービス事業者はコンテンツを使って収益を上げたりサービスの宣伝に利用したりすることができない。

また、著作者人格権が行使できる状態になっていると、コンテンツの公表や改変を著作権者の同意なしで行えない状態となり、サービスの運営に支障をきたす可能性が高い。

よって、著作財産権を事業者に譲渡し、著作者人格権を事業者(および事業者から許諾を受けた第三者)に対して行使しない旨を利用規約に定めておく必要がある。ここで、著作権を譲渡する旨の条文には、法第27条又は法第28条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていなければならない(法61条)。

なお、事業者側からするとユーザーからすべての著作権を譲渡してもらった方が都合がいいのだが、ノートや日記等、ユーザーがプライベートな情報を投稿するタイプのサービスでは特にユーザーから強い反発を招く可能性があるため、「著作権の譲渡」ではなく「サービスの継続的運営に必要な範囲で変更・利用等の許諾をとる」という方式にしていることがある(たとえばEvernoteやmixiの利用規約では、投稿コンテンツの著作権は事業者ではなくユーザーに帰属し、ユーザーは事業者に必要な範囲で投稿コンテンツの利用を許諾する旨が記載されている)。

事業者と第三者との間での知的財産権の取扱

ユーザーが自由にコンテンツを投稿できるようになっている場合、常に第三者の権利を侵害するようなコンテンツが投稿される可能性がある。この場合、当該ユーザーは当然権利侵害について責任を問われることになるが、対応によってはサービスの事業者も同様に権利侵害の責任を問われる可能性がある。

たとえば、サービス事業者があるユーザーによって権利侵害コンテンツが投稿されたことを知りながら他のユーザーがアクセスできる状態を放置していた場合、プロバイダ責任制限法によって責任を問われる可能性がある。この場合、当該コンテンツの削除等の対応をとる必要がある。

実務上留意すべき点としては、権利侵害の通報内容が事実であることを確認すること、当該コンテンツの削除後に権利侵害でないことがわかったときにコンテンツを元に戻せるようにしておくこと、利用規約中でサービス事業者が権利侵害と判断したコンテンツを削除できる旨を定めておくこと、が挙げられる。